2013年10月17日木曜日

涸沢・上高地 2

2013.10.12~14





二日目は朝5時に起床。
快晴。昨日の雲はすっかりどこかへいってしまいました。天気図はこんな感じでだったようで高気圧が張り出してきて気圧勾配も穏やかです。





この日の夜は何度も目を覚ましました。今まで活躍してくれていたダウン入りエアマットが空気漏れしていたからです。2時間ほどで空気が抜けて体が地面に付きます…ロフトが稼げていないので地面からの冷気が伝わり寒くて目が覚めます。奥の手のスペース暖シートを取り出して寝袋の中で体に巻きますがダメ。結局体を起こして空気を入れなおすため、空気が抜けるたびに完全覚醒。イマイチ寝た気がしません。

(山をやる人は普通なのかもしれませんが、)同行のM/Yさんは羨ましいぐらいに寒さに強く、快適に過ごせたそう。朝起きて会話すると夜中2時間も外に出て星空を撮影していたらしい。(これはさすがに体が冷えたらしいですが…)
その力作を拝借しました。寒い中、本当にご苦労様でした。






テントの内側は凍りついていています。入口のファスナーも凍りついていてなかなか開けられません。寝袋から出たくありませんが、仕方なく支度を始めます。まずは朝ラーメンとスープで体を芯から温めます。






外に出るとだんだん空は白み平線付近が赤みがかってきます。山の上で過ごすこの時間はいつも良いものです。






そして地平線や山影から陽が顔をだし辺りを照らし出すと、いわゆるマジックアワーの始まりです。 夜の間の降雪により薄ら白化粧した岩肌がモルゲンに映えてくれるかもしれません。上部の木々はすでに落葉していますが陽の光が当たれば別の表情を見えてくれるかもしれません。否が応にもそんな期待感を持って待機します。

そしていよいよその時が。
夢中でシャッターを切ります。時間との闘い、綺麗と感じたところを自分なりにどんどん切り取っていきます。






岩肌のテクスチャー。







稜線の木々のシルエット。





照らし出された岩肌や木々のコントラスト。
記憶の中の岩肌や木々はもっと輝いていた、というと少し違う気がしますが、もっと良い色だったような気がします。レタッチで近づけようとしましたが…まあ、うまくいきません。











さて、マジックアワーが終わり一息ついたところで出発です。この日は行動時間が長いのでグズグズするわけには行きません。すでに7時。テントその他は放置して乾燥させておくので身軽な状態で上を目指します。

パノラマコースを通っていきますが石畳の道で、あまり木々は生えていません。昨夜の降雪で足元が滑ります。しかし、あまり深刻な状態ではなく軽アイゼンも必要ないほどで、予定通り山頂まで行けそうです。





ザイテングラードまではカールを大きくトラバースしながらアプローチしていきます。ザイテングラードを見遣るM/Yさん。






ザイテングラードに取り付いた後は岩場の急登になり、時折手を使いながら登っていきます。








9時前に穂高岳山荘に到着。すぐ横にそびえる奥穂高にはひときわ多く雪が張り付いているように見えます。







M/Yさんと協議し、時間の心配もあるので涸沢岳に登ることにします。コースタイム上は奥穂高岳までは50分、涸沢岳までは15分。涸沢岳が低いかと言えばそうでもなく、奥穂高には負けますが3110mもあり十分高い山です。

山頂には左手側からやや巻き気味にアプローチします。それもそのはず、右手側はスパッと切れ落ちていて山頂に立つとかなりの高度感です。前方に北穂高や槍ヶ岳が見えますが、ここからの眺めはやはり何といってもほんのり雪化粧した奥穂高岳でした。背後には右手側にジャンダルム、左手側に前穂高岳が見えました。







山頂からの眺めをひとしきり堪能し、テントを置いてきた涸沢まで下っていくことにします。
登ってくるときに凍結していたところもほとんどが溶けていて、軽アイゼンの出番はありませんでした。ザイテングラードから少し下ったところで分岐がポイントがあり、下りは木々の多いように見える涸沢ヒュッテ方面を経由するルートを選びます。いい具合のナナカマドを見つけては写真遊びに時間を費やします。















テント場に着いたのは12時前。

テントやダウン類はすっかり乾いていて気持ちよく撤収作業を進めていきます。靴擦れのケアと水を補給してから出発です。屏風のコル経由で徳沢に下っていくとすると、コースタイムで4時間ほど。13時に涸沢を出発すると日暮れ前に徳沢に着けます。






屏風のコルまでは一部ルートが崩落しているとの情報もありましたが、それほど危険な場所もなく進んで行けます。気を付けて進めば普通の道です。ただし予想外のアップダウンの繰り返し。息切れしながら進んでいきます。

涸沢から一時間ほど歩くとようやく登りもひと段落し、前方が開けた場所に出ます。ちょうど涸沢の裏側にあたる斜面が見渡せるわけですが、思っていたよりも紅葉はしていませんでした。やはりあの涸沢の紅葉は涸沢ならではの条件が創り出したもののようです。












時間帯が比較的遅かったこともあるでしょうが、このルートが良かったのは往路のような混雑が無いことでした。すれ違いは勿論ありますが、普段の山歩きの感覚で静かに歩けました。










徳沢に到着したのは16時30分。
そんなにテントを張っている人は多くないんじゃないかと考えていましたが、結構います。ただ、敷地が広く、しかも地面がならされていて一面平らな芝生なのでどこにでもテントが張ることができました。

あたりはもう若干薄暗い感じです。しかし、ゆっくり休憩する暇はありません。もうあと1時間もすればライトをつけないと作業しづらくなると思い、さっさとテント設営にかかります。続いて食事の用意をし、食べ終えるころにはライトが必須の時間帯となっていました。徳沢にも風呂があって19時まで開いているようですがバタバタしているうちに忘れていました。テントに入って横になった時点でM/Yさんが思い出させてくれても時すでに遅し。もうそんな状態では起き上がって行動する気にはなりません。

このまま就寝、行動時間の長かった一日でした。




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