2013年8月18日日曜日

黒部五郎岳 1

2013.8.11~14




3日目の始まりは2時15分。眠いですが自分を奮い立たせて起きます。
テントのベンチレーション穴から上空を確認。雲一つない星空を確認し、カメラと三脚、レリーズを手に祖父岳との分岐ポイントに向かいます。トイレに行くおじさんとすれ違いますが、撮影者とは誰一人出会いません。

ポイントに到着し空を見上げるとヒュンヒュン星が流れます。北東方向から離れるほど軌跡が長くなることは事前知識として得ていましたが、一視野における流星の観測密度が少なくなるのではないかと思い、実際に目で見て良さげな方向にカメラを向け、24mmの画角で撮影していきます。いつもの星空撮影のように10秒露出で撮影していましたが、よくよく考えると流れ星は0.5秒ぐらいで消えてしまいます。つまり、露出時間が短い高感度撮影でなければ映らないのではないかと不安になりました。

これが正しかったのかどうか判りませんが、あまり流れ星は写っておらず、明るく写っている写真は限られていました。流れ星の写真としての表現方法とともに今後の課題となりました。




さて、流星撮影の後は寝なおすこともできないので、朝食とテントの撤収にかかります。

この日の出発は朝5時。雲ノ平から祖父岳、鷲羽岳、三俣蓮華岳を経由して黒部五郎小屋を目指します。

テントはやはり朝露に濡れていて、食料を消費しても荷物が軽くなったような感じはしません。祖父岳に向けた分岐ポイントまでの、ほんの数分の木道ですでに少し息が粗くなっていました。少し立ち止まり写真を撮ると、レンズが蓋を撮るときの手の温度で曇っていました。




祖父岳までの途中でスイス庭園に寄り道します。以前来たときは小さな池塘が点在していて、草の緑と空を映した青のコンビネーションが印象的だったのですが、今回は猛暑のせいか枯れ果てていました。少し残念でしたが、そのまま奥の展望スペースまで行き小休止。山々に囲まれて秘境の温泉地 / 高天原が遥か下に見えます。

以前立ち寄ったときは雲ノ平からアクセスしましたが、薬師沢小屋の分岐ポイントから沢沿い行くルートもおもしろいそうなので、今度はこのルートで高天原にアクセスしたいと思います。




雲ノ平に後ろ髪を引かれる思いでしたが、祖父岳に向かうことにします。
以前に選択した黒部川源流まで下りて三俣山荘まで登るルートとの分岐を左に折れ、木道からごろごろとした石のルートに変わります。分岐ポイント付近の山側斜面はチングルマが一面に咲いていて祖父庭園と呼ばれているようですが、皆さんスルーです。




チングルマの群落の少し上にハクサンイチゲも咲いていますが、足場の悪い斜面で不安定な体勢を強いられるため、軽く体力を消耗しました。




祖父岳頂上まで登ったところで小休止、周りを見渡すと黒部五郎岳と雲の様子がキレイでした。
それとともに、これから行く鷲羽岳方面に目をやると、まず越えなければならない手前のワリモ岳までの道のりが地図で見た以上に険しく見えたのが印象的でした。




一度下ってしまうのが口惜しいですが、仕方ないのでワリモ岳方面に下り始めます。
手前の尖った方がワリモ岳、その奥が鷲羽岳です。鷲羽岳は地味ながら2924mあり、今回の山歩きの最高地点ということが後から判りました。




鞍部ではコバイケイソウが咲いていました。




鞍部を越えた登りは斜面を土と石の混じった道を小さくトラバースしながら登っていきます。
後ろからプレッシャーをかけてくる山ボーイがいますが、ゼイゼイ言って頻繁に立ち止まったりしているので明らかにペースオーバー。気にしないことにします。

やがて水晶岳との分岐ポイントに到着します。荷物を置いて登る人が多数いましたが、ここはパス。いつか読売新道を歩く際の楽しみにします。休憩中の彼とはここでお別れし、分岐ポイントを右に折れワリモ岳へ向かいます。




7時40分、ワリモ岳頂上。遠く槍ヶ岳を背に鷲羽岳がそびえます。土の色のワリモ岳とは対照的に、石でできたクールな山肌がキレイです。




8時20分、鷲羽岳頂上。振り返るとワリモ岳、その向こうの赤岳、水晶岳の連なりが見えました。




ここから三俣山荘までは下り坂。地図に「ザレた急登」と書かれていましたが、石と砂のミックスされた斜面でした。延々とトラバースしながら下りますが、非常に滑りやすく、気を使うし足の力も使いながら少しずつ下っていきます。そんな私を軽快なステップで追い越していく山ボーイのグループ。三俣山荘からの往復のようですが、荷物の重さの差か、体力の差か…どちらにせよ羨ましい限りでした。

途中左手側に鷲羽池という池を見下ろせました。その向こうには西鎌の尾根から続く槍ヶ岳の姿が見えます。




予定よりも早いペースで来ているので三俣山荘前で大休止。バックパックを置き、ベンチに腰を据えて休みます。
湿ったものを乾かしたり行動食を食べたりして三俣蓮華岳に備えます。

目の前で60~70Lのバックパックを重そうに移動している男子学生?がいました。カメラに興味を持ったようで、不意に彼が話しかけてきました。どうやらカメラ機材が重たいようで変に共感しました。彼はなんとデジタル一眼と中判カメラを持参し、レンズ3本、三脚は2台持ちで天の川を中心に流星群を狙ったということです。一方の私はカメラと三脚は一台ずつながら、レンズは5本。高天原方面へ行くとのことで、少しの間カメラ談義と現地の情報交換をしたのち、お互いに健闘を称えてお別れしました。




さあ、本日最後の山、三俣蓮華岳まで登り始めます。
太陽も高く上っていて照りつける熱を強く感じました。徐々に高度を上げ、双六小屋への巻道分岐ポイントを通過したころ、双六方面に素晴らしい景色が開けてきました。三俣蓮華カールと呼ばれるようです。




頂上まではあと少し。
ですが、結構ザレていて登りにくい道に変わっていきます。以前も登っているはずなのですが全く覚えていません。
最後の方はかなり急に感じましたが、何とか頂上へ。10時45分到着です。



黒部五郎岳方面はその上空に雲がかかっています。少し遠いですが、明日アプローチするルートを探します。カールを横切り、黒部五郎岳の右肩にまず上がるルートのはずですが、良く判りませんでした。五郎小屋まで下りていく途中で徐々に近づきながら確認することにします。





三俣蓮華岳から400mほど下ってテント場に向かいます。下りがイヤになりますが、延々と下らなければなりません。特に見所もなく、疲れもあったのでカメラも首から下げているだけになりました。ただ、前日までいた雲ノ平が右手に見えていて、それゆえの充実感を感じることができました。



テント場へは昼過ぎに到着。
まだガラガラで一等地を確保できました。そして、ここの水場も湧水で垂れ流し状態です。例の如く行水をしてリフレッシュするとともに、ここでは待ちを気にせず汚れ物を手洗いすることもできました。
テントに戻り、シュラフと洗い物を乾かします。この頃はいい天気ですぐに濡れたものも乾きましたが、夕暮れが迫るにつれて辺りに霧がたちこめてきました。




天気は下り基調かもしれない。そんな心配もしつつこの日の行動を終了。
次の日はいよいよ最終日。いつもより早い4時出発の予定のため、準備を整えて就寝します。


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