2013.8.11~14
いよいよ最終日です。
朝二時半に起床すると、早くも隣のテント二張りはガサガサと片付けを始めているようでした。
腹ごしらえをしてパッキング、朝4時過ぎ出発。五郎平から黒部五郎岳へのルートは稜線ルートとカールルートの二つがあります。稜線ルートは(おそらく)どの位置にいても日の出を見ることができそうなところが魅力です。しかし、カールのほうが比較的楽にアクセスできそうなことと、朝日に照らされる草原を期待して、こちらのルートを進むことにします。
あたりはまだまだ暗くヘッドライト必須です。闇の中で光に照らされた場所は白く感じられ、モノクロに近い世界を歩いていきます。最初は藪の中の道で間違うようなところはありませんが、少し歩くとそれまでよりも大きな石がゴロゴロしている枯れた沢のような開けた場所に出ます。ヘッドライトで照らした範囲しか見渡すことができませんので、ルート上の石に飛びとびマーキングされた目印を見失わないように慎重に進んでいきます。
徐々に空が白みはじめ、ヘッドライトが照らす範囲外も視認できるようになってきました。歩き始めて30分ほどすると、前々日歩いた雲ノ平方面の空が赤くなりはじめているのが見え、ライトを消します。
すでにカールに入っているのか、緩やかな斜面は草原のようでコバイケイソウがそこかしこに咲いていました。目指す黒部五郎岳の頂上が前方やや左に見えますが、山頂にはその右側に位置する鞍部のさらに右部分を経由していくことになります。
空は少しずつ明るくなっていきます。点在する岩やコバイケイソウが創り出す景観がとても綺麗です。
しばらくすると黒部五郎岳の頂上がモルゲンロートに染まっていきます。頂上では早くも登り切って雄叫びを上げているツワモノもいました。彼らは三時ぐらいに出発したのかもしれません。
山なみから朝の光が光条となって差し込むのが見えます。振り返るとはっきり向こうまで見渡せるぐらいに明るくなってきました。
見渡す限りこのカールには前にも後ろにも誰もいません。出発する時間が幸いし、こんな景色を独り占めて気持ちの高ぶりも右肩上がりです。そして始まりつつあるゴールデンタイム。気持ちが焦り、意識して抑えなければ知らず知らずのうちにペースアップしてしまいます。
小川を渡ります。水かさは高くありません。靴底を洗うようにして川を横切っていきます。
ついにカールにも陽が差しはじめます。それまでの影の中の世界から一転、光と影の強いコントラストの世界に変わっていきます。
心躍らせながら歩いていると、あっという間にカールも終盤。肩部までせり上がる急斜面はコバイケイソウの大群落で覆われています。人間正直なもので、綺麗なものがある方向に道が切り開かれています。少し離れたところから、白と緑、そして光と影のコントラストを100mmで切り取ります。
コバイケイソウの大群落の急斜面にはつづら折りになったガレた道ができています。息が上がるのでペースを落としながら少しずつ登っていきます。今まで見渡せなかった景色が、時折後ろを振り返ると見えてきます。
逆光に輝くコバイケイソウの斜面。圧巻の景色でした。
登ってきた斜面越しにすっかり朝日に包まれたカールを見下ろします。
急斜面を登り始めて20~30分で頂上の手前の鞍部に辿りつきます。今までは見えなかった黒部五郎岳の向こう側、太郎平に続いていく景色を臨みます。黒部五郎岳とは異なり穏やかな山様の山々が連なっています。
分岐ポイントで荷物をデポし、黒部五郎岳の頂上まで往復します。片道10分ぐらいでアクセスできたように思います。
6時、黒部五郎岳登頂。
さっきまで歩いていたカールを見下ろします。霞がかる向こうから歩いてきたかと思うとそれなりの充実感もありましたが、それよりも、秘境とすら感じるほどのまさに絶景。
状況に恵まれたのかもしれませんが、本当に素晴らしい山でした。
最終日はなんといっても黒部五郎岳がクライマックスでした。黒部五郎岳のインパクトが強すぎましたし、また、その日のうちに山を下りることを考えると、あとは消化試合のような感覚にならざるを得ません。
荷物を置いてきた分岐ポイントまで戻って行動食と日焼け止めを塗って太郎平を目指します。黒部五郎岳からの下りはザレて滑りやすく、下りにくい道を降りていきます。これを越えると、太郎平までは何度かアップダウンを繰り返すこととなりましたが、総じて緩やかな道でした。後ろを振り返ると当然ながら今まで自分がいた黒部五郎岳が眺められるわけですが、やはり三俣蓮華岳側からの眺めが良いように思いました。
黒部五郎の余韻にひたりつつも太郎平に向け足を進めます。黒部五郎岳と太郎平の間にある赤木岳、中ノ俣岳あたりは、右手側に草原が広がっていて眺めの良いトレッキングコース。どんどん進んでいきます。
太郎平には10時着。
太郎平小屋のベンチで小休止し、靴を脱いで足裏のマッサージをしたあと、3日前に苦労して登ってきた道を折立まで一気に降りていきます。途中、たくさんのハイカーに出会いましたが息も絶え絶えの方も多く、3日前の自分のようです。たしかに、良くこれを登ってこれたもんだと、下ってみて改めて思うほどの怒涛の下り坂でした。
途中膝痛の恐ろしさも感じながらでしたが、何とか12時に折立に無事到着。充実感いっぱいの4日間の山歩きを終えました。暑さには悩まされたものの、天候に恵まれ山を堪能できたことを幸運に思います。毎年来てもいい、やはり雲ノ平方面はそう思える場所でした。黒部五郎岳も含め、いつかまた来たいと思います。
折立登山口の自販機でスポーツドリンクを買い一気飲みし、臨時駐車場に駐車した車へ。着替えをしたあと、今までに幾度が御世話になっている立山国際ホテルの立ち寄り湯でリフレッシュ。ついでにレストランで豪華・ステーキ重定食をいただき、飢えたカラダにご褒美をあげて帰路につくこととしました。
2013年8月25日日曜日
2013年8月18日日曜日
黒部五郎岳 1
2013.8.11~14
3日目の始まりは2時15分。眠いですが自分を奮い立たせて起きます。
テントのベンチレーション穴から上空を確認。雲一つない星空を確認し、カメラと三脚、レリーズを手に祖父岳との分岐ポイントに向かいます。トイレに行くおじさんとすれ違いますが、撮影者とは誰一人出会いません。
ポイントに到着し空を見上げるとヒュンヒュン星が流れます。北東方向から離れるほど軌跡が長くなることは事前知識として得ていましたが、一視野における流星の観測密度が少なくなるのではないかと思い、実際に目で見て良さげな方向にカメラを向け、24mmの画角で撮影していきます。いつもの星空撮影のように10秒露出で撮影していましたが、よくよく考えると流れ星は0.5秒ぐらいで消えてしまいます。つまり、露出時間が短い高感度撮影でなければ映らないのではないかと不安になりました。
これが正しかったのかどうか判りませんが、あまり流れ星は写っておらず、明るく写っている写真は限られていました。流れ星の写真としての表現方法とともに今後の課題となりました。
さて、流星撮影の後は寝なおすこともできないので、朝食とテントの撤収にかかります。
この日の出発は朝5時。雲ノ平から祖父岳、鷲羽岳、三俣蓮華岳を経由して黒部五郎小屋を目指します。
テントはやはり朝露に濡れていて、食料を消費しても荷物が軽くなったような感じはしません。祖父岳に向けた分岐ポイントまでの、ほんの数分の木道ですでに少し息が粗くなっていました。少し立ち止まり写真を撮ると、レンズが蓋を撮るときの手の温度で曇っていました。
祖父岳までの途中でスイス庭園に寄り道します。以前来たときは小さな池塘が点在していて、草の緑と空を映した青のコンビネーションが印象的だったのですが、今回は猛暑のせいか枯れ果てていました。少し残念でしたが、そのまま奥の展望スペースまで行き小休止。山々に囲まれて秘境の温泉地 / 高天原が遥か下に見えます。
以前立ち寄ったときは雲ノ平からアクセスしましたが、薬師沢小屋の分岐ポイントから沢沿い行くルートもおもしろいそうなので、今度はこのルートで高天原にアクセスしたいと思います。
雲ノ平に後ろ髪を引かれる思いでしたが、祖父岳に向かうことにします。
以前に選択した黒部川源流まで下りて三俣山荘まで登るルートとの分岐を左に折れ、木道からごろごろとした石のルートに変わります。分岐ポイント付近の山側斜面はチングルマが一面に咲いていて祖父庭園と呼ばれているようですが、皆さんスルーです。
チングルマの群落の少し上にハクサンイチゲも咲いていますが、足場の悪い斜面で不安定な体勢を強いられるため、軽く体力を消耗しました。
祖父岳頂上まで登ったところで小休止、周りを見渡すと黒部五郎岳と雲の様子がキレイでした。
それとともに、これから行く鷲羽岳方面に目をやると、まず越えなければならない手前のワリモ岳までの道のりが地図で見た以上に険しく見えたのが印象的でした。
一度下ってしまうのが口惜しいですが、仕方ないのでワリモ岳方面に下り始めます。
手前の尖った方がワリモ岳、その奥が鷲羽岳です。鷲羽岳は地味ながら2924mあり、今回の山歩きの最高地点ということが後から判りました。
鞍部ではコバイケイソウが咲いていました。
鞍部を越えた登りは斜面を土と石の混じった道を小さくトラバースしながら登っていきます。
後ろからプレッシャーをかけてくる山ボーイがいますが、ゼイゼイ言って頻繁に立ち止まったりしているので明らかにペースオーバー。気にしないことにします。
やがて水晶岳との分岐ポイントに到着します。荷物を置いて登る人が多数いましたが、ここはパス。いつか読売新道を歩く際の楽しみにします。休憩中の彼とはここでお別れし、分岐ポイントを右に折れワリモ岳へ向かいます。
7時40分、ワリモ岳頂上。遠く槍ヶ岳を背に鷲羽岳がそびえます。土の色のワリモ岳とは対照的に、石でできたクールな山肌がキレイです。
8時20分、鷲羽岳頂上。振り返るとワリモ岳、その向こうの赤岳、水晶岳の連なりが見えました。
ここから三俣山荘までは下り坂。地図に「ザレた急登」と書かれていましたが、石と砂のミックスされた斜面でした。延々とトラバースしながら下りますが、非常に滑りやすく、気を使うし足の力も使いながら少しずつ下っていきます。そんな私を軽快なステップで追い越していく山ボーイのグループ。三俣山荘からの往復のようですが、荷物の重さの差か、体力の差か…どちらにせよ羨ましい限りでした。
途中左手側に鷲羽池という池を見下ろせました。その向こうには西鎌の尾根から続く槍ヶ岳の姿が見えます。
予定よりも早いペースで来ているので三俣山荘前で大休止。バックパックを置き、ベンチに腰を据えて休みます。
湿ったものを乾かしたり行動食を食べたりして三俣蓮華岳に備えます。
目の前で60~70Lのバックパックを重そうに移動している男子学生?がいました。カメラに興味を持ったようで、不意に彼が話しかけてきました。どうやらカメラ機材が重たいようで変に共感しました。彼はなんとデジタル一眼と中判カメラを持参し、レンズ3本、三脚は2台持ちで天の川を中心に流星群を狙ったということです。一方の私はカメラと三脚は一台ずつながら、レンズは5本。高天原方面へ行くとのことで、少しの間カメラ談義と現地の情報交換をしたのち、お互いに健闘を称えてお別れしました。
さあ、本日最後の山、三俣蓮華岳まで登り始めます。
太陽も高く上っていて照りつける熱を強く感じました。徐々に高度を上げ、双六小屋への巻道分岐ポイントを通過したころ、双六方面に素晴らしい景色が開けてきました。三俣蓮華カールと呼ばれるようです。
頂上まではあと少し。
ですが、結構ザレていて登りにくい道に変わっていきます。以前も登っているはずなのですが全く覚えていません。
最後の方はかなり急に感じましたが、何とか頂上へ。10時45分到着です。
黒部五郎岳方面はその上空に雲がかかっています。少し遠いですが、明日アプローチするルートを探します。カールを横切り、黒部五郎岳の右肩にまず上がるルートのはずですが、良く判りませんでした。五郎小屋まで下りていく途中で徐々に近づきながら確認することにします。
三俣蓮華岳から400mほど下ってテント場に向かいます。下りがイヤになりますが、延々と下らなければなりません。特に見所もなく、疲れもあったのでカメラも首から下げているだけになりました。ただ、前日までいた雲ノ平が右手に見えていて、それゆえの充実感を感じることができました。
テント場へは昼過ぎに到着。
まだガラガラで一等地を確保できました。そして、ここの水場も湧水で垂れ流し状態です。例の如く行水をしてリフレッシュするとともに、ここでは待ちを気にせず汚れ物を手洗いすることもできました。
テントに戻り、シュラフと洗い物を乾かします。この頃はいい天気ですぐに濡れたものも乾きましたが、夕暮れが迫るにつれて辺りに霧がたちこめてきました。
天気は下り基調かもしれない。そんな心配もしつつこの日の行動を終了。
次の日はいよいよ最終日。いつもより早い4時出発の予定のため、準備を整えて就寝します。
3日目の始まりは2時15分。眠いですが自分を奮い立たせて起きます。
テントのベンチレーション穴から上空を確認。雲一つない星空を確認し、カメラと三脚、レリーズを手に祖父岳との分岐ポイントに向かいます。トイレに行くおじさんとすれ違いますが、撮影者とは誰一人出会いません。
ポイントに到着し空を見上げるとヒュンヒュン星が流れます。北東方向から離れるほど軌跡が長くなることは事前知識として得ていましたが、一視野における流星の観測密度が少なくなるのではないかと思い、実際に目で見て良さげな方向にカメラを向け、24mmの画角で撮影していきます。いつもの星空撮影のように10秒露出で撮影していましたが、よくよく考えると流れ星は0.5秒ぐらいで消えてしまいます。つまり、露出時間が短い高感度撮影でなければ映らないのではないかと不安になりました。
これが正しかったのかどうか判りませんが、あまり流れ星は写っておらず、明るく写っている写真は限られていました。流れ星の写真としての表現方法とともに今後の課題となりました。
さて、流星撮影の後は寝なおすこともできないので、朝食とテントの撤収にかかります。
この日の出発は朝5時。雲ノ平から祖父岳、鷲羽岳、三俣蓮華岳を経由して黒部五郎小屋を目指します。
テントはやはり朝露に濡れていて、食料を消費しても荷物が軽くなったような感じはしません。祖父岳に向けた分岐ポイントまでの、ほんの数分の木道ですでに少し息が粗くなっていました。少し立ち止まり写真を撮ると、レンズが蓋を撮るときの手の温度で曇っていました。
祖父岳までの途中でスイス庭園に寄り道します。以前来たときは小さな池塘が点在していて、草の緑と空を映した青のコンビネーションが印象的だったのですが、今回は猛暑のせいか枯れ果てていました。少し残念でしたが、そのまま奥の展望スペースまで行き小休止。山々に囲まれて秘境の温泉地 / 高天原が遥か下に見えます。
以前立ち寄ったときは雲ノ平からアクセスしましたが、薬師沢小屋の分岐ポイントから沢沿い行くルートもおもしろいそうなので、今度はこのルートで高天原にアクセスしたいと思います。
雲ノ平に後ろ髪を引かれる思いでしたが、祖父岳に向かうことにします。
以前に選択した黒部川源流まで下りて三俣山荘まで登るルートとの分岐を左に折れ、木道からごろごろとした石のルートに変わります。分岐ポイント付近の山側斜面はチングルマが一面に咲いていて祖父庭園と呼ばれているようですが、皆さんスルーです。
チングルマの群落の少し上にハクサンイチゲも咲いていますが、足場の悪い斜面で不安定な体勢を強いられるため、軽く体力を消耗しました。
祖父岳頂上まで登ったところで小休止、周りを見渡すと黒部五郎岳と雲の様子がキレイでした。
それとともに、これから行く鷲羽岳方面に目をやると、まず越えなければならない手前のワリモ岳までの道のりが地図で見た以上に険しく見えたのが印象的でした。
一度下ってしまうのが口惜しいですが、仕方ないのでワリモ岳方面に下り始めます。
手前の尖った方がワリモ岳、その奥が鷲羽岳です。鷲羽岳は地味ながら2924mあり、今回の山歩きの最高地点ということが後から判りました。
鞍部ではコバイケイソウが咲いていました。
鞍部を越えた登りは斜面を土と石の混じった道を小さくトラバースしながら登っていきます。
後ろからプレッシャーをかけてくる山ボーイがいますが、ゼイゼイ言って頻繁に立ち止まったりしているので明らかにペースオーバー。気にしないことにします。
やがて水晶岳との分岐ポイントに到着します。荷物を置いて登る人が多数いましたが、ここはパス。いつか読売新道を歩く際の楽しみにします。休憩中の彼とはここでお別れし、分岐ポイントを右に折れワリモ岳へ向かいます。
7時40分、ワリモ岳頂上。遠く槍ヶ岳を背に鷲羽岳がそびえます。土の色のワリモ岳とは対照的に、石でできたクールな山肌がキレイです。
8時20分、鷲羽岳頂上。振り返るとワリモ岳、その向こうの赤岳、水晶岳の連なりが見えました。
ここから三俣山荘までは下り坂。地図に「ザレた急登」と書かれていましたが、石と砂のミックスされた斜面でした。延々とトラバースしながら下りますが、非常に滑りやすく、気を使うし足の力も使いながら少しずつ下っていきます。そんな私を軽快なステップで追い越していく山ボーイのグループ。三俣山荘からの往復のようですが、荷物の重さの差か、体力の差か…どちらにせよ羨ましい限りでした。
途中左手側に鷲羽池という池を見下ろせました。その向こうには西鎌の尾根から続く槍ヶ岳の姿が見えます。
予定よりも早いペースで来ているので三俣山荘前で大休止。バックパックを置き、ベンチに腰を据えて休みます。
湿ったものを乾かしたり行動食を食べたりして三俣蓮華岳に備えます。
目の前で60~70Lのバックパックを重そうに移動している男子学生?がいました。カメラに興味を持ったようで、不意に彼が話しかけてきました。どうやらカメラ機材が重たいようで変に共感しました。彼はなんとデジタル一眼と中判カメラを持参し、レンズ3本、三脚は2台持ちで天の川を中心に流星群を狙ったということです。一方の私はカメラと三脚は一台ずつながら、レンズは5本。高天原方面へ行くとのことで、少しの間カメラ談義と現地の情報交換をしたのち、お互いに健闘を称えてお別れしました。
さあ、本日最後の山、三俣蓮華岳まで登り始めます。
太陽も高く上っていて照りつける熱を強く感じました。徐々に高度を上げ、双六小屋への巻道分岐ポイントを通過したころ、双六方面に素晴らしい景色が開けてきました。三俣蓮華カールと呼ばれるようです。
頂上まではあと少し。
ですが、結構ザレていて登りにくい道に変わっていきます。以前も登っているはずなのですが全く覚えていません。
最後の方はかなり急に感じましたが、何とか頂上へ。10時45分到着です。
黒部五郎岳方面はその上空に雲がかかっています。少し遠いですが、明日アプローチするルートを探します。カールを横切り、黒部五郎岳の右肩にまず上がるルートのはずですが、良く判りませんでした。五郎小屋まで下りていく途中で徐々に近づきながら確認することにします。
三俣蓮華岳から400mほど下ってテント場に向かいます。下りがイヤになりますが、延々と下らなければなりません。特に見所もなく、疲れもあったのでカメラも首から下げているだけになりました。ただ、前日までいた雲ノ平が右手に見えていて、それゆえの充実感を感じることができました。
テント場へは昼過ぎに到着。
まだガラガラで一等地を確保できました。そして、ここの水場も湧水で垂れ流し状態です。例の如く行水をしてリフレッシュするとともに、ここでは待ちを気にせず汚れ物を手洗いすることもできました。
テントに戻り、シュラフと洗い物を乾かします。この頃はいい天気ですぐに濡れたものも乾きましたが、夕暮れが迫るにつれて辺りに霧がたちこめてきました。
天気は下り基調かもしれない。そんな心配もしつつこの日の行動を終了。
次の日はいよいよ最終日。いつもより早い4時出発の予定のため、準備を整えて就寝します。
雲ノ平 2
2013.8.11~14
二日目はいよいよ薬師峠から雲上の楽園・雲ノ平を目指します。
朝4時起床。食事を摂りテントを撤収しようとしますが、朝露でテントがかなり濡れています。ふき取りタオルを忘れたので仕方なくそのまま畳んでバックパックに詰め込むことに。
朝5時過ぎ。いい天気になりそうです。
5時半ぐらいになると太陽が顔をだし山々の頂から照らし出します。太郎平小屋の傍らにニッコウキスゲが咲いていて、朝日に染まりつつある景色がとてもキレイでした。
雲ノ平に向け、太郎平小屋を右手に見て木道を行きます。薬師峠方面を見るとこんな感じで、ハクサンイチゲやチングルマが白く輝いています。
草原をトラバースしながら緩やかに下るのも束の間、急な下りに変わります。見通しも悪くなりますが、所々で咲いているニッコウキスゲや草木に付いた朝露を見ながら下っていきます。
急な下りがひと段落すると薬師沢に向けて小さな沢をいくつか越えていきます。前を歩いてる外国の方の後姿を拝借。
膝下ぐらいの笹の中に敷かれた木道を通ったのち、やがてカベッケが原という広場に着きます。ここから薬師沢小屋まではすぐですが、せっかくチングルマの群落に囲まれていてベンチまで設置されているので小休止します。
ほどなくして薬師沢小屋に着きますがここはスルー。7時45分、小屋の横に架けられた赤い橋で薬師沢を渡ります。
気持ちよく飛沫を上げている小さな滝が涼しげな雰囲気ですが、ここから雲ノ平までの急登が始まります。以前は天気が悪く軽く水が流れていて、足場も悪く苦労した覚えがあります。今回はそういうことはなさそうですが、それなりの苦労は覚悟していました。
直登ルートは枯れた沢を登っている感覚で、ゴロゴロとした石でできた道です。以前とは違い足場の状態が良いため幾分気持ちが楽ですが、勾配がキツイことに変わりはありません。草木を気にする余裕があったのも束の間、息を切らしながら登ることに集中していきます。
一時間半ほどでようやくキツイ登りが終わり緩やかな木道が始まりますが、息もキレギレで針葉樹に囲まれたちょっとした広場で休憩します。しかし、ここまでくれば、あとは「庭園」と呼ばれる幾つかのお花畑を越えながら、雲ノ平の核心部に緩やかにアプローチできます。少し歩くと急に視界が開けてきて「楽園」の様相を呈してきました。
雲ノ平山荘の手前に小さな丘レベルの祖母(ばば)岳への分岐があります。この日の深夜(=13日午前3時)はペルセウス座流星群の極大期で観測条件的にも適しているということ。流星群の観測ポイントをどうするかも考えつつ、分岐ポイントにバックパックを置いて祖母岳に登ります。
頂上からは360°見渡すことができ観測ポイントとして申し分ありません。しかし、テント場からのアクセスに片道30分程度かかることを考えるとちょっと考え物で、結局ここは諦めることにしました。
それから次の日から自分が歩くであろう山々も漠然と眺めます。山の懐の深さを感じるが故に「人間結構歩けるもんだ」と思うとともに「本当に歩けるのか」と地図を見ながら行動計画に無理がないか見直したりしました。
さて、祖母岳で休憩した後、テント場に向かいます。相変わらずチングルマやハクサンイチゲ、コバイケイソウなどが咲き乱れている中に敷かれた木道を歩いていきます。祖父(ジジ)岳との分岐ポイントが少し小高い丘になっていて、テント場が見えてきます。テント場の向こうに見える祖父岳には分岐ポイントを左手方向に進み稜線上を歩いてアクセスすることを確認します。
テント場に11時半到着。設営場所を探しますが、連泊の方などで「水平、石が少ない、水が流れてこない」一等地は埋まっているようでした。考えた結果、天気が安定していることからヒドイ増水はないと考え、土がちょっと湿っぽいけども他はOKの場所を確保しました。
昨日の薬師峠に続き、今回はこの雲ノ平のテント場もキャパオーバー。後から到着するほど条件の悪い場所に設営せざるを得なくなります。ひどい傾斜地やとても平坦とは言えない一枚岩の上に設営している人もいました。山登りがブームになった今、特にハイシーズンは早めに到着するように行動計画を立てる必要がありそうです。
テント設営してから適当に周囲を散策しようかと思いましたが、本当に暑い。高原とは思えないほどの暑さで、散策する気にもなりません。他の人たちは山荘までビールを買いに行くなどしてやり過ごそうとしているようでした。
ここのテント場も水場は湧水を利用していて垂れ流し状態です。昨日と同じく頭から行水して体のほてりを冷ましました後、テント場に流れる小川のほとりに小さな草地と木陰を見つけたので、ここでしばらく昼寝をすることに。
午後4時。
少し暑さもマシになり、高天原まで降りるルートの途中にある奥スイス庭園方面に散策に行くことにしました。
山荘までの木道を途中から右側に折れ、少し登ったところにコロナ観測所というスポットがあり、周囲にはおなじみの花々やイワオトギリが咲いていました。先客の方が言われていましたが、どうやらdocomoの電波塔が併設されていて携帯が通じるとのことです。
さて、コロナ観測所を越えて奥スイス庭園方面に降りていきます。雪渓が残っていて、その雪解け水で小さな池ができていました。天気が良く水面が空を映したキレイな青が印象的でした。
草原でしばらく花を撮った後、引き返して祖父岳との分岐ポイント、少し小高い地点で夕暮れを待つことにします。
クライマックスは18時20分~50分の間。まだ30分ぐらいありましたが、三脚を立てて100mmの単焦点をセットし逆光気味となる山荘方面の草原を狙います。陽はどんどん傾き、そしてこの時が来ました。
ひとしきり堪能したあと、テントに戻ります。徐々に暗くなってくる中、食事の用意と着替えを同時並行的に進めなければなりません。そして19時、山の向こうが焼けるのを見ながら食事。最高でした。
そしてこの日最後の仕事。明朝未明の流星群に備え、機材をセットし就寝です。
二日目はいよいよ薬師峠から雲上の楽園・雲ノ平を目指します。
朝4時起床。食事を摂りテントを撤収しようとしますが、朝露でテントがかなり濡れています。ふき取りタオルを忘れたので仕方なくそのまま畳んでバックパックに詰め込むことに。
朝5時過ぎ。いい天気になりそうです。
5時半ぐらいになると太陽が顔をだし山々の頂から照らし出します。太郎平小屋の傍らにニッコウキスゲが咲いていて、朝日に染まりつつある景色がとてもキレイでした。
雲ノ平に向け、太郎平小屋を右手に見て木道を行きます。薬師峠方面を見るとこんな感じで、ハクサンイチゲやチングルマが白く輝いています。
草原をトラバースしながら緩やかに下るのも束の間、急な下りに変わります。見通しも悪くなりますが、所々で咲いているニッコウキスゲや草木に付いた朝露を見ながら下っていきます。
急な下りがひと段落すると薬師沢に向けて小さな沢をいくつか越えていきます。前を歩いてる外国の方の後姿を拝借。
膝下ぐらいの笹の中に敷かれた木道を通ったのち、やがてカベッケが原という広場に着きます。ここから薬師沢小屋まではすぐですが、せっかくチングルマの群落に囲まれていてベンチまで設置されているので小休止します。
ほどなくして薬師沢小屋に着きますがここはスルー。7時45分、小屋の横に架けられた赤い橋で薬師沢を渡ります。
気持ちよく飛沫を上げている小さな滝が涼しげな雰囲気ですが、ここから雲ノ平までの急登が始まります。以前は天気が悪く軽く水が流れていて、足場も悪く苦労した覚えがあります。今回はそういうことはなさそうですが、それなりの苦労は覚悟していました。
直登ルートは枯れた沢を登っている感覚で、ゴロゴロとした石でできた道です。以前とは違い足場の状態が良いため幾分気持ちが楽ですが、勾配がキツイことに変わりはありません。草木を気にする余裕があったのも束の間、息を切らしながら登ることに集中していきます。
一時間半ほどでようやくキツイ登りが終わり緩やかな木道が始まりますが、息もキレギレで針葉樹に囲まれたちょっとした広場で休憩します。しかし、ここまでくれば、あとは「庭園」と呼ばれる幾つかのお花畑を越えながら、雲ノ平の核心部に緩やかにアプローチできます。少し歩くと急に視界が開けてきて「楽園」の様相を呈してきました。
雲ノ平山荘の手前に小さな丘レベルの祖母(ばば)岳への分岐があります。この日の深夜(=13日午前3時)はペルセウス座流星群の極大期で観測条件的にも適しているということ。流星群の観測ポイントをどうするかも考えつつ、分岐ポイントにバックパックを置いて祖母岳に登ります。
頂上からは360°見渡すことができ観測ポイントとして申し分ありません。しかし、テント場からのアクセスに片道30分程度かかることを考えるとちょっと考え物で、結局ここは諦めることにしました。
それから次の日から自分が歩くであろう山々も漠然と眺めます。山の懐の深さを感じるが故に「人間結構歩けるもんだ」と思うとともに「本当に歩けるのか」と地図を見ながら行動計画に無理がないか見直したりしました。
さて、祖母岳で休憩した後、テント場に向かいます。相変わらずチングルマやハクサンイチゲ、コバイケイソウなどが咲き乱れている中に敷かれた木道を歩いていきます。祖父(ジジ)岳との分岐ポイントが少し小高い丘になっていて、テント場が見えてきます。テント場の向こうに見える祖父岳には分岐ポイントを左手方向に進み稜線上を歩いてアクセスすることを確認します。
テント場に11時半到着。設営場所を探しますが、連泊の方などで「水平、石が少ない、水が流れてこない」一等地は埋まっているようでした。考えた結果、天気が安定していることからヒドイ増水はないと考え、土がちょっと湿っぽいけども他はOKの場所を確保しました。
昨日の薬師峠に続き、今回はこの雲ノ平のテント場もキャパオーバー。後から到着するほど条件の悪い場所に設営せざるを得なくなります。ひどい傾斜地やとても平坦とは言えない一枚岩の上に設営している人もいました。山登りがブームになった今、特にハイシーズンは早めに到着するように行動計画を立てる必要がありそうです。
テント設営してから適当に周囲を散策しようかと思いましたが、本当に暑い。高原とは思えないほどの暑さで、散策する気にもなりません。他の人たちは山荘までビールを買いに行くなどしてやり過ごそうとしているようでした。
ここのテント場も水場は湧水を利用していて垂れ流し状態です。昨日と同じく頭から行水して体のほてりを冷ましました後、テント場に流れる小川のほとりに小さな草地と木陰を見つけたので、ここでしばらく昼寝をすることに。
午後4時。
少し暑さもマシになり、高天原まで降りるルートの途中にある奥スイス庭園方面に散策に行くことにしました。
山荘までの木道を途中から右側に折れ、少し登ったところにコロナ観測所というスポットがあり、周囲にはおなじみの花々やイワオトギリが咲いていました。先客の方が言われていましたが、どうやらdocomoの電波塔が併設されていて携帯が通じるとのことです。
さて、コロナ観測所を越えて奥スイス庭園方面に降りていきます。雪渓が残っていて、その雪解け水で小さな池ができていました。天気が良く水面が空を映したキレイな青が印象的でした。
草原でしばらく花を撮った後、引き返して祖父岳との分岐ポイント、少し小高い地点で夕暮れを待つことにします。
クライマックスは18時20分~50分の間。まだ30分ぐらいありましたが、三脚を立てて100mmの単焦点をセットし逆光気味となる山荘方面の草原を狙います。陽はどんどん傾き、そしてこの時が来ました。
ひとしきり堪能したあと、テントに戻ります。徐々に暗くなってくる中、食事の用意と着替えを同時並行的に進めなければなりません。そして19時、山の向こうが焼けるのを見ながら食事。最高でした。
そしてこの日最後の仕事。明朝未明の流星群に備え、機材をセットし就寝です。
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